アビラのテレサ·1515–1582·ルネサンス期スペイン
「何ごとも汝を乱すな、何ごとも汝を驚かすな。すべては過ぎ去る。神は変わりたまわず。忍耐はすべてを成す。神を持つ者は何も欠けぬ。神のみにて足る」
この言葉の背景
アビラのテレサが愛用していた日課経(ブレビアリウム)のしおりに自ら書きつけた短詩で、現在もスペインで自筆が保存されている。改革カルメル会の創建をめぐる裁判と迫害、修道院十七箇所の建設行脚のただなかで、彼女が自分のために書き置いた覚え書きに近い。神への信頼を八行に圧縮し、現代のテゼ共同体の聖歌にも採用されるなど、400年後にも祈られ続けている。神学の論証ではなく、手元に握って眺める石のような祈り。