メルロ=ポンティ·1908–1961·フランス
「身体は世界への我々の一般的な媒体(véhicule)である」
この言葉の背景
1945年パリで刊行された主著『知覚の現象学』第一部第六章の定式である(原文 Le corps est notre moyen général d'avoir un monde)。心は身体に「載っている」のではなく、身体こそが世界を持つための一般的な媒体だ ― デカルト以来の心身二元論の語彙を、日常の歩行や手の動作の次元から書き換えた一句である。のちのイアン・ハッキングやジュディス・バトラーの身体論、認知科学の「身体化された認知」論まで、戦後の身体論の出発点として繰り返し引かれた。