レオナルド・ダ・ヴィンチ·1452–1519·ルネサンス期イタリア
「自然の裡にある原因を識らぬ者は、自然の中に描かれた結果を描くことはできない」
この言葉の背景
ミラノのスフォルツァ宮廷に仕え、『最後の晩餐』の準備と並行して解剖・光学・流体の観察を手稿に書き溜めていた 40 代前後(1490 年代以降)の記述で、後に弟子フランチェスコ・メルツィが散在する断簡を編んで成立した『絵画論』に収められた趣旨の一節である。画家の技量とは筆の巧拙ではなく、筋肉の走行、光の減衰、水の渦といった原因のほうに届いているかどうかで決まる ― 絵画を自然哲学と地続きの仕事として置き直した、ルネサンス最盛期の思想が凝っている一文。